ニッポン監獄事情
塀の向こうの閉じられた世界
平凡社
佐藤友之
ISBN4582851517
わが国で刑務所や拘置所に収容されているひとは六万人弱。
国際化を反映して外国人の受刑者も増えつつある。
彼らは塀の中でどのような扱いを受け、獄中の日々を送っている
のか。明治時代に制定された「監獄法」が今なを生き続け、
憲法も人権規約も通用しない閉鎖された世界とは。
警察の留置場(代用監獄)から拘置所、刑務所への過程を辿り
ながら、過酷かつ貧困な獄中処遇を明らかにし、
世界の常識から遅れたニッポンの監獄事情を問い直す。
≪監獄とは何か≫
五つのクエスチョンをあげよう。「イエス」「ノー」で答えて
いただきたい。
@留置場に主として収容されているのは、犯罪者である。
A留置場には「代用監獄」の別名がある。
B逮捕された者はかならず留置場へ収容される。
C留置場の収容期間は、法律で定められている。
D死刑囚は拘置所へ収容されている。
@は「ノー」。留置場に主として収容されているのは、被疑者である。
被疑者は法律上、無罪の推定を受けている。警察に逮捕されたといって、
犯人と決まったわけではない。
Aは「イエス」。日本の人権問題に関心のある外国人には、「DAIYOUKANGOKU」で
そのまま通用するほどだ。
Bは「ノー」。有名人や、地検(地方検察庁)に逮捕された被疑者はたいてい、
拘置所へ連れたいかれる。
Cは「ノー」。収容期間は被収容者の法律上の身分によって異なる。
被疑者は、逮捕にともなう三日間の留置期間を含めて、通常、最長二三日間である。
「通常」があれば、「例外」がある。いわゆる国家反逆罪などに
該当する場合、五日間延長されて最長二八日間となる。この間に
別の事件で逮捕されると、収容期間はさらの延びる。
再逮捕をくり返すと、際限なく延びていく。法的な“ワク”はないに等しい。
あなたは何問、答えられたろうか。五問正解でも、「まぐれ当たり」では仕方ない。
Dは「イエス」で正しいのだが、それではなぜ、死刑囚は拘置所へ拘禁されているのだろうか。
答えられなくても、恥じ入らないでいただきたい。
わたしたちは公教育の場で、監獄について学ぶ機会をほとんどまったく持たなかった。
監獄自体閉鎖的で、内部はいっはさい公開されていない。
そうした意味でも、あの高くていかめしい塀は、シンボリックな存在なのである。
「情報公開は民主主義の基本」といわれて久しい。
公的機関が情報を握りしめていることの危険性や弊害は、これまで再三指摘されている。
限られた情報は、誤解や偏見を生み育てる。わたしたちは、塀の向こうへ足を踏み入れてみよう。
(ばめにより)
目次
第一章 監獄への道
逮捕から留意場へ・・監獄への入り口・・弁護士は頼めても・・
屈辱の取り調べ・・他
第二章 監獄の一日
拘置所へ入る・・独居房「人間金庫」・・所内生活の『心得』・
「点検」とは「安息」とは・・他
第三章 受刑者の暮らし
刑務所へ・・分類される受刑者・・どこの刑務所へ送られる・・
タテマエを並べた『心得』・・他
第四章 獄中処遇を問う
監獄によって異なる獄中処遇・・貧弱な獄中の医療・・「情状」
で決まる医療の形・・獄中医療をめぐるある事件・・Kさんは
生きて帰れたが・・釈放されても・・高い再犯率・・他
720円(税別)
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