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街の本屋が「カア!」と啼く
からすの本屋熱血風雲 ボンボンビンボ録
幻堂出版
川辺佳展
街の本屋さんに愛をこめて
負けるな!本屋!!
がんばれ!本屋!!
かつて神戸元町下山手鯉川筋に客も店主も麦酒を
飲んでる本屋があった・・・・・・・
猫もヘーキで子猫を産む本屋ですらあった。
川辺くんは僕の秘書を長年つとめた後、最初は神戸郊外に、
その後元町で本屋を開業したけど2軒ともあえなく閉店。
が、転んでもタダでは起きない彼が、苦闘の14年間をまとめた
この本は、不思議な元気をくれる1冊だ。
作家・大阪芸術大学教授 小池一夫
店の場所を移して「リセット」しようと思いつくには、その前年、
自宅を引っ越していたことも大きかった。
年号が「平成」になった年、東京時代に住んでいた嫁さん名義の
マンション売った金を頭金にして、店からほど近いところに家を建て、そこに住んでいた。
ところが、心身の疲労から嫁さんが、家に籠もりきりになって、
その家で今度は「幻聴」に悩まされることになった。
「引っ越したい」と必死で訴える嫁さんに、「そんなことできるか!」
「そもそも、ここを引っ越してすむ問題でもないやろ⊥と言うていたのは、
嫁さんのものではあるが、せっかく手に入れてしかもまだローンも残ってる家、
簡単に手放せるか、という助平根性と、一旦根を降ろした
「土地」からは、なかなか離れようとしない百姓家生まれの
わしの「サガ」だったのだと、今となっては思う。
だが、「それでも」と懇願する嫁さんに根負けした形で、渋々、六甲山北麓の
古い街にある借家に移ってみると・・・・・・
嫁さんの幻聴が消え、精神状態も落ち着いて、平穏な日々が取り戻せたんである。
以前住んでた家は、店から車でほんの三、四分、歩いたって十五、六分のところで、
そのせいで、嫁さんの神経がおちつかなかった、ということもあったろうけど、
越して来た「街」自体の雰囲気が、以前のところとは格段に違ってたのもまた、
原因じやなかろうかと思えた。
わし自身もまた、この街にいると、以前の家にいる時よりも数段、
なんだか落ち着けたんである。
以前に住んでいたのは、まっさらの「ニュータウン」、そしてここは、
昭和の三〇年代にこそ「ニュータウン」だったところなんだが、
ここに引っ越して来てしばらくすると、わし自身もまた以前の街では、
絶えず緊張を強いられていたようにも思い起こされるのであった。
ここでは、なんだかその「緊張感」がほぐれていくのが実感できた。
人が住み始めて三〇年、四〇年と経るうち、
「街の磁場というかそういうのが、固まってきてるせいかな・・・・・」
など、真剣に考えてしまったんであるが・・・・・
だからこそ、「店」もまた、引っ越して「リセット」しよう、という考えが
浮かんだのだとも思う。
それに、一旦「閉める」と決めると、随分気持ちが楽にもなった。
(暗雲編 「本屋って、何や?」より)
1400円(税別) |